わたしとの約束とは

「わたしとの約束」は、日々の暮らしの中で見つけた“小さな決意”を綴る手紙です。
人にやさしくしようとするように、自分にもやさしくできたら——。
そんな想いを込めて、お届けします。

吉川 恵子さん(68歳)
夫と二人暮らし。退職後、近所の友人たちと健康体操に通うのが日課。
若い頃から「自分は人より遅い」と感じて生きてきたが、
最近は「ゆっくりでもいい」と思えるようになってきた。
いつの間にか、誰かと比べていた
若い頃からずっと、私は誰かと自分を比べてきた。
成績、職場での評価、家のきれいさ、子どもの進路。
何かにつけて「自分はまだ足りない」と思っていた。
誰かの“うまくいっている姿”を見つけるたび、
胸の奥で小さく劣等感が疼いた。
けれど、ある日、鏡の前に立ったときふと気づいた。
「誰かになるために生きてきたわけじゃない」——そう思った瞬間、
長い間背負っていた荷物を少し下ろせた気がした。
ゆっくり、私のペースで
友人たちは元気で社交的で、私はどうしても一歩引いてしまう。
以前なら「私も頑張らなきゃ」と焦っていたけれど、
今は“聞き役の自分”も悪くないと思える。
料理も掃除も、できる日にできるぶんだけ。
それでも夫が「今日も美味しい」と笑えば、それで十分だと思える。
「比べない」ことは、“あきらめ”ではなく“自由”だった。
わたしとの約束
明日、誰かの良いところを見つけても、
「いいなあ」と微笑んで終わりにしよう。
自分の歩幅で生きることを、
恥ずかしいと思わないように。
——これが、わたしとの約束。
読者のみなさんへ
誰かと比べて落ち込む日があっても、
あなたの時間は、あなたの速さで流れています。
焦らず、立ち止まりながらで大丈夫。
“比べない勇気”は、心をやわらかくしてくれます。
誰かのまぶしさに、心が沈む日もある。
でも、それを“きれいだな”と思えるようになったとき、
すでにあなたは自分を認め始めているのかもしれません。
※本記事はプライバシー保護の観点から、登場する名前や人物設定はすべて架空のものです。ただし、綴られた生活の核心は実際の体験や声に基づいています。
