≪大切便り≫夕暮れの散歩道

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大切便りとは

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「大切便り」は、シニア世代とその家族に向けて、思い出や日々の暮らしを“手紙”のように届けるコラムです。

みなさんの心に寄り添い、「自分の大切」を思い出すきっかけになることを願っています。

おはなし人
woman

鈴木 恵子さん(66歳)

夫と二人暮らし。
日々の楽しみは夕暮れの散歩と、孫と過ごす時間。
日常の中に小さな幸せを見つけることを大切にしている。

夕暮れに染まる道

家事を終え、夕飯の準備を少し置いて、夫と一緒に家を出る。
外に出ると、空はオレンジ色に染まり、影が長く伸びている。
「今日は風が気持ちいいね」
そんな小さな言葉を交わしながら、二人でゆっくり歩く。
毎日同じ道のはずなのに、夕暮れの色や風の匂いは日ごとに違い、退屈しない。

並んで歩く安心

歩きながら話すのは、夕飯のおかずのことや、孫の話、時には昔の思い出。
たいしたことは話していないのに、歩き終える頃には心が軽くなる。
夫が隣で歩いてくれているだけで、不思議と安心できるのだ。
若い頃は言い合いになることも多かったけれど、今は言葉にしなくても伝わることの方が増えたように思う。

沈む夕日を眺めながら、「今日も一緒にいられた」という静かな喜びを噛みしめる。

続いていく小さな習慣

この散歩を始めてから、もう十年以上が経つ。特別な理由があったわけではなく、気づけば習慣になっていた。
でも今では、この時間があるからこそ日々の暮らしが整う気がする。
足並みをそろえて歩くことで、心も自然とそろっていく。
大切なのは、派手な出来事ではなく、こうして「同じ時間を過ごすこと」なのだと、夕暮れの道が教えてくれる。

読者のみなさんへ

特別なことはしていません。
ただ夫と歩いているだけ。
でも、その“だけ”が私には一番の幸せです。
もし今隣にいる人がいるなら、どうかその時間を大切にしてみてください。
きっと、心に残る宝物になります。

ココレス編集部からのひとこと

大切な人と並んで歩く時間は、ありふれた日常の中にこそ宿っています。
読んでくださった方が、ご自身の暮らしの中でも「寄り添える時間」を見つけられますように。

素敵な想い出をありがとうございました。

※本記事はプライバシー保護の観点から、登場する名前や人物設定はすべて架空のものです。ただし、綴られた想いの核心は実際の体験や声に基づいています。。