寒い日に湯気とともに立ちのぼる、味噌とだしのやさしい香り。
たっぷりの野菜と豚肉を煮込んだ「豚汁(とんじる)」は、
家庭の食卓でも、給食でも、誰もが一度は味わったことのある“ほっとする和の一品”です。
今回は、そんな豚汁のルーツや広まり方、地域ごとの違いまで、あたたかい視点でご紹介します。
- 豚汁は明治期に広まった“肉入り味噌汁”がルーツ
- 栄養満点で、庶民の力めしとして定着
- 地域ごとの呼び方や具材に違いあり
- 防災食やアウトドア料理としても活躍
豚汁の原型は「肉入り味噌汁」

豚汁のルーツは、江戸時代後期から明治時代に登場した「肉入りの味噌汁」にあります。
当時、日本では仏教の影響により長らく肉食が避けられていましたが、
明治維新以降の“肉食奨励”の流れの中で、豚肉が一般にも浸透していきました。
それまで精進料理が中心だった家庭にも、徐々に肉を取り入れた料理が登場。
豚肉と味噌を合わせて煮込むこのスタイルが、「豚汁(とんじる/ぶたじる)」として広がっていったのです。
庶民の栄養食としての定着

豚汁は、肉体労働の多かった時代の「力めし」として親しまれました。
豚肉はたんぱく質とビタミンB群が豊富で、味噌との相性も抜群。
そこに大根・にんじん・ごぼう・こんにゃくなどの根菜類を加えることで、
栄養バランスのとれた一品に仕上がります。
昭和の高度経済成長期には、給食や社員食堂でも広く提供され、
“ご飯と豚汁”だけで満足できる献立として定番化しました。
地域ごとの呼び名と味つけの個性

東日本では「とんじる」、西日本では「ぶたじる」と読むことが多く、
地域によって味噌の種類や具材にも特徴があります。
・関東:赤味噌+合わせ味噌が主流
・関西・九州:白味噌や麦味噌も使用
・具材:里芋やさつまいも、豆腐、白菜など家庭によってバラエティ豊か
また、アウトドアや災害時にも人気のメニューで、
豚缶や味噌、常備野菜を使えば、簡単かつ心温まる一品が完成します。
まとめ
豚汁は、明治の食文化の転換期から生まれ、
庶民の台所や給食、そして現代の家庭やアウトドアシーンにまで広く根づいてきた料理です。
湯気とともに立ちのぼる味噌の香りには、
体だけでなく心まであたためる力があるのかもしれません。
🍲 今日もまた、湯気の向こうで誰かが「いただきます」と手を合わせています。

お味噌の香りって、なんだかホッとするよね〜!
お野菜もたっぷりで、元気になれる一杯でした♪