「使う」という言葉は、どう生まれた?——日々のことばのルーツをたどる

使う
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言葉の由来

毎日のように口にし、行動にしている「使う」という言葉。
「道具を使う」「時間を使う」「人を使う」……その意味の幅は驚くほど広く、便利で汎用性の高い言葉です。
では、この「使う」という言葉は、いつ・どのように生まれ、どうやって今のような意味になったのでしょうか?
この記事では、「使う」の語源や意味の変遷、そして現代での使われ方について、わかりやすくご紹介します。

  • 「使う」の語源は「仕える」だった
  • 時代とともに「人」から「物」へと意味が広がった
  • 漢字「使」は“命じて動かす”というニュアンスを持つ
  • 現代では目的をもって「活かす」行動として定着
目次

「使う」の語源は“仕える”だった

言葉の由来

「使う」は、古代日本語の「つかふ(使ふ)」に由来しています。
この言葉は奈良時代や平安時代の文献にも見られ、もともとは「主人や神仏に仕える」という意味で使われていました。

たとえば、「主(あるじ)に仕ふ」という表現は、主人に忠実に従い、命令をこなすことを意味していました。
現代の「人を使う」という意味合いの“使”は、当初は「仕える側」の姿をあらわしていたのです。

意味の広がり——“人”から“物”へ

言葉の由来

やがて時代が下るにつれ、「つかふ」は「人に仕える」から、「物や道具を使う」へと意味を広げていきます。

たとえば、平安時代の貴族の日記には「女房をつかふ」という記述がありますが、これは「奉公させる」だけでなく、「身の回りの世話を頼る」などのニュアンスも含んでいました。

やがて、道具や言葉、さらには時間やお金まで、「目的のために活かす」意味として定着していきます。

「使」という漢字の意味と現代的な使い方

言葉の由来

「使」という漢字は、「人(にんべん)」+「吏(お役人)」から成り、
本来は「人に任務を与えて、働かせる」という意味をもっていました。

この意味は現代にも残り、「使者」「使命」「使用」などの言葉につながっています。

また、「道具を使う」「言葉を使う」「人を使う」「自分を使い果たす」など、
現代では「使う」は目的をもって何かを活用する行為として、私たちの行動のあらゆる場面に溶け込んでいます。

この「使う」という言葉には、単なる操作以上に、「役立てる」「力を引き出す」という深い意識が込められているのです。

まとめ

「使う」という言葉は、古くは「仕える」という人間関係から生まれ、
時代の流れとともに、道具・時間・感情などあらゆるものを“活かす”意味に進化してきました。

私たちが日常で使うこの言葉には、人間の知恵や関係性、工夫の歴史が詰まっています。

言葉の由来を知ることは、日々の行動を少しだけ丁寧にすることにもつながります。
今日、「何かを使う」とき、少しだけ意識を向けてみてはいかがでしょうか。

ココちゃん

“使う”って、そんな深い意味があったんだね!
道具にも人にも、ちゃんと“気持ちをこめて使いたい”って思えたよ♪