万が一への備え――保険の歴史と変遷をひもとく

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保険の変遷

病気やけが、事故や災害——
「もしも」に備える仕組みとして、私たちの暮らしに深く根づいている保険。
いまでは当たり前にあるこの制度も、もともとは人と人との“助け合い”から生まれたものでした。
この記事では、保険のはじまりから現在の公的制度にいたるまでの歴史を、やさしく振り返ります。

  • 保険の起源は古代の「相互扶助」の考え方から
  • 大航海時代に海上保険が登場し、近代的制度へと発展
  • 国民皆保険など、公的制度として社会に根づく
  • 高齢社会やデジタル化に合わせて保険も進化中
目次

保険のはじまりは“助け合い”の精神から

相互扶助

保険の原型は、古代から存在していた「相互扶助(そうごふじょ)」という考え方にあります。
たとえば、バビロニアや古代ローマでは、商人たちが船の沈没に備えて、互いに損失を補い合うような仕組みを持っていました。
中世ヨーロッパでは、職人の組合であるギルドが、災害やけがの際にお金を出し合う制度を運用していました。
保険の始まりは、困ったときはお互いさまという、暮らしの中のやさしい知恵だったのです。

海のリスクが生んだ「海上保険」

海上保険

14世紀から17世紀にかけての大航海時代、長く危険な航海に出る商人たちの間で、「海上保険」という考え方が広まりました。
貨物や船が損傷したときの経済的損失をカバーするために、複数の出資者が補償金を提供する仕組みが生まれたのです。
1688年には、イギリス・ロンドンのコーヒーハウスで「ロイズ保険組合」が誕生し、ここから近代的な保険制度の原型が確立されました。
その後、火災保険や生命保険などさまざまな保険が登場し、保険は「ビジネスとしての仕組み」へと広がっていきました。

社会全体で支える“公的保険”の登場

社会保険

19世紀末、ドイツではじめて国家による社会保険制度が導入されました。
首相ビスマルクのもと、「病気や事故は国全体で支えるべき」という思想から「疾病保険」が整備されます。
日本では1922年に健康保険法が制定され、1938年から被用者向けに制度がスタート。
そして1961年、「国民皆保険制度」が実現し、すべての国民が医療保険に加入する社会がつくられました。
これにより、誰もが安心して医療を受けられる時代が到来したのです。

まとめ

保険は、もともと「困ったときに助け合う」という人間の本質的な思いやりから始まりました。
時代が進む中で、制度として形を整えながら、私たちの暮らしの中にしっかりと根づいていったのです。
今では、公的な医療保険や介護保険、年金制度のほかに、民間の保険会社が提供する補償も身近になりました。
保険は、未来の安心を支える“見えない準備”。
自分や家族の生活を守るために、これからも大切に向き合いたい仕組みです。

ココちゃん

保険のはじまりが“助け合い”だったなんて、ちょっと感動しちゃった!
ずっと続いてきた“安心のバトン”なんだね♪